ボヘミアン・ラプソディ 最終話 王ボジェクⅢ世にして皇帝ボジェクⅠ世

ボヘミアン・ラプソディ
最終話
王ボジェクⅢ世にして皇帝ボジェクⅠ世

 西暦1050年5月、28歳のボジェクが父王から全てを継承してボヘミア国王ボジェク3世を名乗り、ソルビア王国及びポーランド王国を兼ねた中央欧州を支配する強大な王となった。混乱した父王の即位後とは異なり、豊かな財源と強大な軍隊、平和な王国という安定した治世が始まる。だが、王自身はそうではなかった。控えめで穏やか、欲張りも威張りもしない性格のボジェクⅢ世にとって、三つの王冠はあまりにも重すぎた。王として威厳のある存在で自分をいさせるために己に文字通り体に鞭を打ち、苦行を課すことで精神を安定させるという有様であった。そんな彼を救ったのは、ある時に城の宝物庫で発見した祖父ボジェクⅠ世の日記に書かれた巡礼という己の解放方法であった。

 西暦1051年10月、ボジェクⅢ世のバチカンへの巡礼が開始された。約一年間に及ぶ彼の旅路は、プラハの王宮に閉じ込められて病んだ心を解放するのに十分な時間であった。そして王は自身を傷つけることは止めた。自らを王として認め、自分なりの王の道を歩むことに決めたのだった。この巡礼によって彼は神に愛されることができたのだった。

 西暦1054年8月、かつてバチカンで謁見したこともある教皇よりニトラ公爵領への請求権要求を認める書状がプラハ王宮へと届く。かくしてボヘミア王国がさらなる飛躍を遂げる最後の一歩となる「ボヘミアによるニトラ公爵領請求戦争」が開始されたのである。

 西暦1055年12月、ボジェク3世は「ボヘミアによるニトラ公爵領請求戦争」に勝利し、自他ともに認める中央欧州の覇者となる。こうして中央欧州帝国を作り上げる準備が整う。

 西暦1058年1月、プラハの丘の上でローマ教皇が聖油と大粒の宝石がいくつも輝く黄金の冠をボジェクⅢ世の頭へ授ける。こうして西スラヴィア帝国が建国され、偉大なる皇帝ボジェクⅠ世が誕生したのである。西暦870年1月にプシェミスル家の獅子公ネクランがキリスト教の洗礼を受けてから188年の歳月が流れていた。ボヘミアプラハの丘から始まったプシェミスル家は西スラヴィアを統一し、中央欧州に強大な帝国を打ち立てた伝説の一族へとなったのだった。これから先、この帝国がどのような栄枯盛衰の物語を奏でるのかはまだわからない。ただこの物語はここで終焉を迎える。188年の物語、長くも短いこの物語にここまでお付き合いいただいたあなたに感謝を。

 

 この記事はParadox Development StudioのCrusader Kings IIIをプレイした記録を基に筆者の妄想を加えて捏ね繰り回した物語です。攻略などのお役には立ちません。また、プレイに際してはJapanese Language Modを使用させていただいております。ゲームの開発会社様及び日本語化に尽力された翻訳有志の皆様に感謝と敬意を表します。